観光客と住民 足湯で交流
諏訪湖のほとりに大小の旅館42軒が建ち並ぶ上諏訪温泉。湖岸通りのカリンの並木が芽吹きはじめ観光シーズン到来だ。現在、源泉は73か所、1日1万5000キロ・リットルという豊富な単純温泉が湧(わ)く。この温泉熱を利用して温泉植物園が開かれ、50メートル噴き上がる間欠泉が見られる諏訪湖間欠泉センターも開かれている。それでも、「お客さんに温泉として認めてもらえなかったんです」。
諏訪湖温泉旅館組合事務局の堀元彰さん(38)は嘆く。目の前が諏訪湖なので、客は湖水を利用した噴水だと勘違いしてしまうのだ。「温泉であることをアピールできるシンボルがほしい!」
組合は考えた。ちょうど健康のまちづくり市民協議会でも「市民の健康づくりに温泉を活用した施設が欲しい」と模索していた時だったのでこれに協力。諏訪市に足湯の建設を提案したのである。平成13年4月、「足湯」が完成。総工費3300万円。花こう岩製で全長18メートル、幅90センチの湯船に檜(ひのき)の座部。足裏を刺激する石を埋め込んだ健康遊歩道や、子供が遊べるじゃぶじゃぶ池も付けた。湖を眺めながら1度に50人は入れる。週末ともなると車を止めて足湯を楽しむ人々が絶えない。昨年は18万人の入湯者を数えた。
町の人たちもやってくるようになった。「冷え性が今年はラクだったね」
暇を見つけては足を浸(つ)けに来るという小口かなさん(64)。
市民が湖畔に出てくる効果も生まれて、足湯は観光客と住民の交歓の場になっている。
(竹村節子・旅行作家)