砂塩風呂でリフレッシュ
飯田と中津川を結ぶ予定だった中津川線の恵那山トンネル工事の地質調査で、ボーリングをしたところ湧出(ゆうしゅつ)をみたのが昼神温泉。昭和48年のことであった。
網掛山の裾(すそ)を流れる阿知川の両岸に、急速な発展を示した温泉街は、木の香りのあふれた純和風の宿、鉄筋高層の建物をどんと見せる宿、巨岩を配し、趣向を凝らした露天風呂を持つ宿などさまざまだ。
阿知川右岸の高台には、温泉プール、80メートルのウオータースライダーなどがある立ち寄り湯の「リフレッシュinひるがみの森」がある。浴場のあるパブリック棟と宿泊棟が渡り廊下でつながっている。
左岸の温泉街の一角に、砂塩風呂など珍しい入浴法を取り入れ、健康増進に力を入れている「清風苑」に興味を引かれて訪ねてみた。昼神がはじまった初期からの宿という。伊壺(いつぼ)真司社長は、「時代の流れとともに客層が大きく変わった。従来の一泊宴会型から健康を主体にした保養傾向が強くなっている。そこで導入したのが砂塩風呂。全身リラクゼーションをはかり、心身の疲れを癒やすという方向を強めることにしました」と語る。アトピー性皮膚炎や自律神経失調症、ノイローゼなどに効果。
内湯大浴場は露天風呂付き男女別。珍しいのは「座湯」。腰掛けると背もたれ一面に湯が流れて背中を流す。これが実に気持ちのいいものであった。
(野口冬人・旅行作家)