「健康づくりの旅」で活気
古くから中風の湯治場として知られているが、リハビリテーションセンター鹿教湯病院を中心に、現代湯治場のモデルとして発展している。
泉質は弱アルカリ単純温泉で、刺激は少なく万人向けであり、特に高血圧症、動脈硬化症に有効であることが科学的に証明されている。その他、筋・関節痛などに有効である。800年間の湯治の歴史が今なお引き継がれているのである。
かつては「脳卒中の湯」として療養主体の湯治場であったが、現在は高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防、さらには健康づくり、癒やしの場としての利用も増えてきて、活気づいた風情がある。
それは温泉町全体が取り組んでいる「健康づくりの旅」を提供していることにあろう。
町を流れる内村川には4つの橋がかけられ、そのひとつに珍しい屋根つきの5台橋がある。四季を彩る樹木が美しい。それらを取り込んだ遊歩道として「文殊堂、薬師堂、権現社、月見堂」を結ぶ3種類のコースがある。年齢体力に関係なく一般に歩きやすいコースである。
里道、林間、山道、水辺を、体調や自然観察の趣味に合わせて選べるコースである「里山歩き」は、全国に先駆けている。
文殊堂の境内に集まる朝の「健康体操」「温泉利用健康増進施設クアハウス」もある。これらを組み合わせて5泊を楽しく過ごせるのが、今の鹿教湯温泉である。健康づくりのアドバイザーが常駐して、いつでも温泉療養の相談にのってくれる。
(植田理彦・医学博士)